プラチナ・ジュエリーの国際的広報機関による情報サイト
「よかったら身に着けてくれ。母さんも喜ぶと思うから」
結婚式を控えたある日。父がそっと僕の妻に渡したのは、 母の形見のプラチナ・ネックレスだった。
僕が小学生の時に、病気で亡くなった母。
「コウヘイ君がやさしいのはママ似ね」なんてよく言われるくらい、
母はやさしくて女神みたいな人だった、と周りの大人は言う。
その母が、僕をお腹に授かったとわかった時は、
ずっと楽しみにしていた友人とのアフリカ旅行の直前だったという。
母の身体もお腹の子供も心配だから、と旅行を止めた父。
申し訳なく思い、「旅行の代わりにせめて」とプレゼントしたのが そのプラチナ・ネックレスだったのだ。
二人に子供ができた記念の、つまり、僕がこの世に降り立った記念のプラチナ。
結婚式当日。その記念のプラチナ・ネックレスを、
二十年以上の時を越えて、僕の妻が身に着けた。
純白のウエディングドレスに美しく輝くプラチナ・ネックレスを見て、
まるで母もそこにいて僕らを祝ってくれているような、そんな気持ちになった。
僕ら夫婦はその後、世界一周の新婚旅行で、 母が行きたがっていたアフリカのケニアも訪れた。
もちろん、そのプラチナ・ネックレスも一緒に。
(東京都 29歳 男性)